突発性難聴はある日突然誘引もなく片方の耳の聞こえが悪くなる疾患です。原因のわからない急激な片側の難聴を総称して呼びます。
原因として推測されているのは、内耳のウィルスの活動や循環障害などと推定されています。睡眠不足や過労、心身のストレスなども関係があるといわれています。
電話で聞こえないことを自覚したり、急に耳鳴りがしてきたなどの症状で発症します。
軽度のものでは耳に膜が張ったような感じや高いところに行ったような感じと表現される方もいます。しばしばめまいを伴います。
聴力検査は必須です。目の動きをとる眼振検査などを行います。
耳の検査が充実している施設では、OAEやABRといった他覚的に聴力を測定する方法を用いて検査します。
難聴とめまいをくり返すメニエール病、鼻をかむ、くしゃみ、頭部打撲、飛行機の搭乗、登山などをきっかけにした難聴の外リンパ瘻、聴神経腫瘍などによる難聴などを除外する必要があり、十分な問診の結果必要と判断した場合はMRI等の画像検査を行う場合もあります。
原因がはっきりしないため、聴力に良いと思われることは全部やってみるといったイメージの治療が行われます。
一般に行われているのはステロイド内服の治療です。循環改善薬やビタミン剤を合わせて内服します。内服で完治の見込みがない重度の患者様は治療設備のある病院へご紹介させていただきます。
入院が必要なケースではステロイドの点滴(内服)に加え、ステロイド鼓室内注入や高圧酸素療法などを併用しており、内服単体のみよりも良好な予後を得られています。
ステロイド治療の効果は論文や施設によって差があります。完全に治癒するものが1/3、改善するがもとの聴力にはもどらないものが1/3、改善しないものが1/3と治療を行ってみなければわからない場合が多いです。難聴の重症度、めまいの合併などによって予後に違いがでると考えられています。
難聴の重症度、めまいの合併などによって予後に違いがでると考えられています。
ステロイド剤は様々な治療に用いられますが、体の副腎という臓器から作られるホルモンです。主に炎症を抑える、神経の浮腫を軽減させる血流を促す効果などが期待され、以前より用いられているお薬です。
効果は万能ではありますが、長期に内服したり、治療に用いる量が多いと副作用を起こす可能性があります。
代表的なものとしては、
高血圧、糖尿病、白内障、緑内障、骨粗鬆症などの基礎疾患の増悪、胃腸症状、吐き気、だるさ、易感染性、抑うつ症状、副腎不全などを起こす可能性があります。
ステロイドの量は患者様によってちがいます。自己判断で中止されぬようお願いいたします。
内服をご継続いただきながら、様子を見ていきます。内服は患者様に応じて1-2週間程度となります。
症状は次第に改善してくる場合が多いですが、さらに増悪した場合やめまい等を伴う場合はご連絡・ご来院ください。
仕事のご都合で入院での治療が困難な場合も内服から開始しご紹介の上で入院治療に切り替えることもできます。お仕事先でのご理解が得られましたらご紹介させていただきますのでお早目にご連絡ください。
ストレスや過度の緊張状態が長く続くことが発症の原因となることもあります。なるべくリラックスしてご生活されることをお勧めします。食事や睡眠をよくとって、日常の疲れを癒してください。