岸田首相が日帰り手術をした慢性副鼻腔炎とは?

投稿日:2023年2月15日

「令和5年2月11日に岸田総理が慢性副鼻腔炎の日帰り手術をうけられ、検査のため12日に通院、13日から公務を再開した。」と発表がありました。
(参照:日本経済新聞「岸田首相、慢性副鼻腔炎で日帰り手術 13日から通常執務」

岸田総理が患っていた慢性副鼻腔炎はどんな病気?

慢性副鼻腔炎は一般に蓄膿症とよばれます。蓄膿症の方がなじみがある方が多いかもしれませんね。慢性副鼻腔炎というのは、鼻の周囲にある副鼻腔という場所に「膿がたまったり」「ポリープができたり」します。これが原因で、鼻水や鼻づまり、顔の痛み、鼻水が後ろにながれる(後鼻漏(こうびろう)と言います)、歯の痛みなどの症状が出る病気になります。

どんな診断や治療をするの?

診断は、鼻のレントゲンやCTを用いて行います。

治療は、初期には抗生剤を長期に使用して改善させます。改善が見られなかったり、繰り返し同じような症状が出る場合は手術を検討することになります。

どんな手術をするの?入院はどのくらい必要?

手術は、昔は口の方から歯肉を切開する方法で、顔面や頬が腫れたり、しびれたりといったことがありました。しかし、現在の主流は内視鏡を用いて行う内視鏡下副鼻腔手術というものになっており、出血や痛みが少なく、術後の早い回復が見込めます。
岸田総理もこの方法で手術をうけたものと思われます。

昔は、片側で1週間程度の入院が必要でしたが、現在は内視鏡下副鼻腔手術を行うことによって肉体的なダメージが少なく、日帰りや短期入院の手術も可能になっています。

岸田総理は都内では有名な日帰り手術の施設で、全身麻酔での日帰り手術を受けられたと報道されています。一般の総合病院では全身麻酔をして1週間程度入院する施設が多いと思います。

日帰り手術が可能なのは、止血技術の進歩と肉体的なダメージの少なさによるものです。 出血しないように入院して安静な生活を送りますが、現在では術後に大出血するリスクは非常に低く、必ずしも病院に拘束されていなくても大丈夫な場合が多いです。

テレワークなど在宅勤務が拡がっている現在では、ご自宅でお仕事をされても構わないですし、軽い作業やデスクワークであれば術後3-4日目以降には可能です。

岸田総理のようなお仕事を長期に休むことができない方には、日帰りや短期入院が大変利便性がよいと考えられます。

当院では局所麻酔での日帰り手術、もしくは1泊入院での手術を行っています。お仕事やご家庭の事情で1週間も入院・治療はできないという方も、手術を受けることができるかもしれません。長年、鼻の不調でお困りであれば是非ご相談ください。

執筆者:耳鼻咽喉科専門医 石井玄彦

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