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鼻中隔湾曲症とは

鼻中隔イラスト

鼻中隔とは鼻の左右を分けている壁のことで、上下に支えている薄い骨と間にある軟骨からできています。多少の曲がりは誰にでもありますが、鼻づまりの原因となったり、鼻水の流れが悪くなる要因になったりする場合、病気として扱います。

中には慣れてしまってとても強い曲がりがあっても、鼻づまりを自覚しない場合があります。しかし、大事なのは鼻を空気が「ゆっくり、まっすぐ、十分に」流れることが重要です。

鼻中隔湾曲症の原因とは

鼻中隔湾曲症原因イラスト

主に成長の過程で湾曲が強くなる場合が多いです。上下に支えている薄い骨の成長が強い場合、上下からの圧力で軟骨が強く湾曲する場合があります。

外傷やその他の鼻の手術などその他の要因で湾曲が強くなる場合もあります。

鼻中隔湾曲症の症状

主に鼻づまりが多いですが、曲がりが強い部分からの出血、いびき、のどの炎症を繰り返すなど、それ以外の症状の原因となる場合もあります。

鼻中隔湾曲症の治療方法

鼻中隔湾曲手術前側面図

鼻づまりは内服、点鼻治療で改善しますが、根治を目指すには手術療法が基本となります。

鼻の入り口の外から見えないところを切開して、軟骨、骨の一部を除去します。

手術は局所麻酔で行いますが、鼻中隔湾曲症の手術だけであれば約15分以内に終わります。その他鼻閉を改善する手術や副鼻腔の手術を組み合わせて行う場合が多いです。

強い鼻閉の原因となる場合や自覚症状が少なくても、いびきや嗅覚障害、繰り返す副鼻腔炎の原因となる場合は手術療法を説明する場合があります。

鼻中隔矯正術の手術の流れ

  • 【手順1】
    鼻の入口を縦に2㎝ほど切開します。

    鼻中隔湾曲症手術手順1
  • 【手順2】
    鼻の骨や軟骨から粘膜を剥がします。

    鼻中隔湾曲症手術手順2
  • 【手順3】
    鼻の上下の骨の一部と軟骨を除去します。

    鼻中隔湾曲症手術手順3
  • 【手順4】
    鼻の左右の粘膜同士を縫合します。

    鼻中隔湾曲症手術手順4

鼻中隔矯正術の術後の経過

手術後は植物性のタンポンを鼻の中にいれたまま退院となります。

しばらく鼻呼吸はできませんが、次第に溶けてなくなります。手術日を含めて術後4日間は意図的につめものを減量しませんが、少しずつ呼吸できるようになります。
その後はつめものを減らして、術後8日目には鼻の空気の通り道につめものがない状態になり、通常の生活に戻ることができます。

手術の注意点

手術には、一般的な出血やばい菌の感染、痛みなどに加えて、鼻中隔穿孔や鞍鼻などのリスクを伴います。

鼻中隔穿孔

左右の鼻の穴に交通する孔が生じてしまうことです。

骨や軟骨を除去する際に粘膜を傷付けてしまう場合があります。自然に修復される場合が多いですが、血流が悪くそのまま脱落してしまい、孔が開いてしまいます。中隔にピアスされる方もいるので、気流にはあまり影響しない場合が多いですが、呼吸する時に音がする、鼻がかみづらいなどの違和感を感じられる方もいらっしゃいます。

生じてしまった場合には孔を塞ぐ処置や、音の出ないように孔周囲の処置をすることをご提案いたします。

鞍鼻

手術で軟骨や骨をとりすぎて、鼻が変形してしまうことです。

以前は骨や軟骨を大きな範囲でとることがあったようですが、現在は主に内視鏡で強く曲がった部分を中心に手術することができるため、起きる可能性は非常にまれです。鼻中隔の骨や軟骨がなくても周囲のアーチ状の骨や軟部組織があるため、強度はあまり術前と変わりません。数十年後には鼻の高さにわずかな差が出るという報告もあります。

手術費用

健康保険が適応されます。

鼻中隔を矯正する手術に加えて、鼻の中の粘膜を切除する手術を同時に行うことで鼻腔の通りを改善させます。

・3割負担の場合
鼻中隔矯正術+粘膜下下鼻甲介切除術(内視鏡下鼻腔手術1型)
自己負担金 65,000円程度

※並列して別の手術を行い、医療費が高額になる場合には限度額適用認定証が適応になります。1ヶ月あたりの入院時の自己負担額が高額療養費の自己負担限度額までのお支払いになります。

※粘膜下下鼻甲介切除術の詳細はこちらをクリックしてご確認ください。

鼻中隔湾曲症のよくある質問

どんな症状の場合、鼻中隔湾曲症の手術をした方が良いですか?

鼻のつまりは長期間同じ状態でいると詰まった状態でなれてしまいます。いびきや睡眠時無呼吸、鼻血を繰り返す、鼻の奥に痛みがある、花粉症でもないのにアレルギーのように鼻水がでるなど、別の症状として現れてくる場合も少なくありません。
鼻中隔の湾曲があきらかに呼吸をする上で不利に働いている場合は、症状が軽くても手術療法をご提案します。術後に鼻がつまっていたことに気づいたという人も少なくありません。

片方の鼻だけつまっているのですが、鼻中隔湾曲症でしょうか?手術は必要になりますか?

鼻中隔は自然な湾曲は誰にでもあります。湾曲はいろんなパターンがありますので、S字に大きく曲がっているケースでは、一概に片方だけではなく両鼻がつまる場合があります。
内服や点鼻でも改善しない場合は、手術療法をご説明します。

局所麻酔は不安があります。全身麻酔を希望することはできますか?

当院では全身麻酔での手術は行っておりませんが、点滴で少し眠くなるおくすりを使用します。内科で内視鏡検査などを行う時に用いるお薬です。鼻の中にも表面麻酔や局所麻酔の注射を用いて、痛みを軽くします。全身麻酔をご希望の方は他施設をご紹介させていただきます。

手術をするのに危険はありませんか?

手術に伴うリスクは一般的な出血やばい菌の感染、痛みなどに加え、鼻中隔穿孔、鞍鼻などがあります。
一番大きなリスクは術後出血で、手術後1週間程度は起こりえます。鼻中隔や鼻内粘膜は血流が豊富なため、まれに大量の出血を伴う場合があります。出血の程度が強い場合は緊急にご来院いただき、止血や詰め物の交換など処置を行います。
ばい菌の感染や痛みに関しては、抗生剤の点滴や座薬の鎮痛剤を使用することもあります。
なお、出血やその他トラブルには相談窓口を設け、術後1週間は24時間対応しています。

手術で顔に傷が残ってしまうことはないでしょうか?

鼻の入り口の外からは見えない場所を切開し、矯正を行います。鼻の下の皮膚を切開する方法もございますが、当院で行う術式では顔面に傷は残りませんので、ご安心ください。

鼻中隔湾曲手術後側面図

術後に鼻が腫れると聞いたことがありますが、どのくらいで治りますか?

術後は鼻にタンポンを留置するので、数日~1週間程度は鼻が腫れた状態になります。
当院ではガーゼは留置せず、自然に溶けるタンポンを使用しているため、次第に改善していきます。

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