一般の副鼻腔炎は主に、ばい菌による炎症によるものが多いですが、好酸球性副鼻腔炎では鼻の粘膜の中にある炎症細胞が、過剰にはたらくことにより発症する難治性の副鼻腔炎のことです。
主にアレルギー反応によるものと考えられ、炎症性伝達物質が体質的に過剰に分泌されることで鼻の中にポリープができやすく、喘息やアトピー性皮膚炎を合併しやすい、痛みどめどにアレルギー反応は示す、再発しやすいなどが特徴です。
手術などを行っても再発しやすいケースが多く、それゆえに、2015年より特定疾患(難病)に指定されています。
最近ではYoutuberのHIKAKINさんも手術を受けられたようで、手術をうけられた時の様子がYUOTUBEにUPされています。
誇張されているところも多いですが 笑 、短期入院手術の参考にはなるのではないでしょうか。
HIKAKIN TV
【ご報告】指定難病になり入院して全身麻酔で手術することになりました
https://www.youtube.com/watch?v=–xja7-yGQI
ばい菌で発症する副鼻腔炎はちがいますので、一般の抗菌薬があまり効きません。
ステロイドなどを内服すると、炎症性伝達物質が抑制されるため改善しますが、ステロイドはもともと体内のホルモンのため、投薬しつづけることはできません。副作用の方が強くなってしまい、他の問題が起きる可能性が高いからです。
また、好酸球性副鼻腔炎では、眼の周りにある副鼻腔である、篩骨洞に主に炎症を認めます。
採血での血中好酸球値が高くなることや、喘息を合併すること、鼻の中にポリープができやすいことも特徴です。
最終的な確定診断は、鼻の中のポリープや、副鼻腔の粘膜を顕微鏡でみて、どのくらい好酸球という白血球細胞が鼻にでてきているかしらべることで確定します。
ですので、1度は手術や内視鏡を用いてポリープを切除する必要があります。
前述したとおり、鼻の粘膜を顕微鏡でみて、どの程度の好酸球が鼻粘膜を侵しているかによりますが、重症度を定める基準が下記のようにきめられています。
各項目で点数が決まっており、基準を満たすと好酸球性副鼻腔炎と診断されます。
疑わしい場合は採血や、副鼻腔CTの所見が必要となります。鼻をみただけでは判断できませんのでご注意ください。
日本耳鼻咽喉科学会会報2015 好酸球性副鼻腔炎診断ガイドラインより
ポリープなどを合併しているケースが多く、手術が第一選択となることが多いです。
マイクロデブリッターと呼ばれる機械でポリープを切除したり、またはポリープの基部と追われる部分を切除したりして再発を防ぎます。
副鼻腔炎の粘膜は図1のように目まわりから頭、頬の周囲まで伸展しておりますので、病的粘膜となり得る部分はできるだけ広範囲に切除する必要があります。
手術により好酸球性副鼻腔と診断された場合は、その後再発を繰り返す場合、炎症性伝達物質IL-4やIL-13などを抑制するデュピクセント®を用いた免疫治療を行うこともできます。
2015年7月から好酸球性副鼻腔炎が厚生労働省により難病指定されました。
診断には難病指定医によるCT検査、血液検査、鼻ポリープ組織検査(ハナタケの採取)と、これらが一定の基準を満たしたことを証明する診断書が必要で、これを申請窓口(保健所など)に提出、受給者証が交付されます。
認定されればこの疾患に関わる検査、手術、投薬などの治療費の自己負担額が軽減されます(ご本人の年収で異なります)。但し最近では、手術を受けられた方が術後再発された場合などに限定される傾向にあります。
当院でも難病指定を受けることは可能です。術後再発の場合は難病のご申請をお願いします。