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後鼻神経とは

後鼻神経とは、鼻の中の感覚と鼻水の分泌を司る神経です。

後鼻神経は鼻の空気の通り道の広さを調節している下鼻甲介(かびこうかい)というひだの中を走っています。この神経の働きにより、アレルギー物質を感知したり、鼻水を分泌したりするのですが、過剰に反応してしまうと、くしゃみ鼻水が止まらなくなり、非常に不快な症状となります。

後鼻神経切断術とは

後鼻神経切断術

後鼻神経は、脳から蝶口蓋孔という穴を通って鼻の中に出てきます。その後枝分かれをして鼻の粘膜の中を走行します。粘膜の中を走行している神経を探し出して電気メスなどで焼灼するか、もしくは蝶口蓋孔を同定して動静脈とともに焼灼します。

粘膜下下鼻甲介骨切除術や鼻中隔矯正術と合わせて行うことが多いです。

他にも同じような分泌の神経は鼻の中に存在するため、機能が廃絶してしまうことはありませんが、くしゃみ、鼻水などの症状は、花粉症も含めてかなり軽減されます。

個人差はありますが、くしゃみ、鼻水など自覚症状が半減したという方が多くいらっしゃいます。

手術の効果

季節のアレルギー症状を含め、くしゃみ、鼻水の症状は術後1年で約70パーセント程度改善するといわれています。
日本耳鼻咽喉科学会会報参照)

充分な神経の切断が行われている場合、術後4年後においても、同様の効果が維持されます。ただし、鼻の神経の切断なので、スギ花粉症における目のかゆみや肌のかゆみなどは改善しません。

後鼻神経切断術の適応

主に重症のアレルギー性鼻炎に対し行われます。

術前には入院されてから新型コロナウィルス感染症に対する遺伝子検査を実施します。

明確な基準はありませんが、 鼻汁、くしゃみでお困りの方で採血のアレルギー検査において高値を示す方が対象となります。アレルギー採血では、IgEという抗体価を測定しますが、当院ではRAST法を用いてクラス3以上のスギ、ハウスダストなどのアレルギーを持つ患者様を対象としております。また非特異的IgEの値も考慮して手術を提案します。

また、採血におけるアレルギーは認めないが、鼻水が持続してしまう患者様もしばしばおられます。その他の治療が無効な場合、手術をご説明する場合もあります。

手術の流れ

手術方法は現在では大きく2つに分かれます。

① 蝶口蓋孔を同定して蝶口蓋動静脈とともに神経を焼灼

下記のように上顎洞という副鼻腔の出入り口の後方から粘膜を剥離して、持ち上げます。

粘膜をもちあげていくと骨壁から血管繊維束が突出している場所があり、そこが蝶口蓋孔です。蝶口蓋孔を同定したら電気メス(バイポーラ)で挟んで焼灼します。焼灼後に繊維を切断し ます。

後鼻神経切断術手術方法① 後鼻神経切断術手術方法①後鼻神経切断術手術方法①

② 粘膜下下鼻甲介骨切除を行い下鼻甲介後端部の神経を焼灼

アレルギーの重症な方は下鼻甲介という鼻の中の粘膜が著明に腫れ、鼻づまりが生じます。

下鼻甲介の粘膜の中には蝶口蓋から神経が分枝した、後鼻神経の下鼻甲介枝が走行しています。この神経を粘膜の中から同定し、焼灼します。

①の方法よりも出血のリスクが少ないですが、下鼻甲介のみの神経切除ですので、極めて重症のアレルギー性鼻炎の方には効果が不十分な可能性があります。

術後の合併症について

遅発性の術後出血

神経は動静脈と並行して走行しており、焼灼した後に血流が再開し始めると術後1週間から1か月後に再度出血する恐れがあります。

術後2週間程度は、ウェイトトレーニングや水泳など力を入れることや、激しいスポーツは避けていただきます。

萎縮性鼻炎

鼻粘膜の萎縮により、鼻の中にかさぶたが蓄積したり、異臭が起こる可能性があります。鼻の通りは改善したが、違和感が生じるempty noseなども報告があります。

副鼻腔の入り口の粘膜を持ちあげたり、その近くに詰め物をしたりするため術後に一時的な副鼻腔炎を起こす場合があります。投薬治療や時間経過とともに改善する場合がほとんどです。

術後の注意点

術後は鼻に詰め物をして過ごします。他の鼻の手術と同じような術後を過ごしていただきます。術後1週間は特に出血の可能性があるため、慎重な生活が必要です。

日帰り手術では遠方であり、通院が困難な方、ご不安な方には入院をお勧めします。

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